オーストラリア・メルボルンの中心部にあるバットマン公園には、
日本では見られない円筒形の奇妙な構造物が設置されています。
1990年メルボルン市議会が7,000ドルを投じて、
公園周辺の鳩を人為的にコントロールするための鳩小屋 [ Pigeon Loft ]です。
鳩を集めて管理するピジョンロフト
鳩小屋 [ Pigeon Loft ]ができるまで、鳩は「翼のあるネズミ」と呼ばれ人や建物に大きな被害を与えてきました。見た目は、その名のとおり鳩小屋ですが、緑の公園の中にあっても違和感なくとけ込み、デザイン的にも機能面でも優れた構造物です。鳩小屋の役割は、飛来した鳩を捕獲したり駆除するのではなく、産卵した卵をプラスチックで出来た擬似卵に差替えて、受精卵を除去し個体数の調整をしています。
鳩小屋[Pigeon Loft]の巣箱の数は200個、夏季など小屋の内部が熱くならなように薄い色で塗装され、ペンキも耐久性のある物が使われています。
風通しがよく鳩も快適に過ごせる
小屋の機能や構造についての詳細は判りませんが、内部は常に乾燥・清潔を維持するように、風通しが良い高床式になっています。
韓国の釜山駅前をはじめ、世界各地でも似たような鳩小屋が建てられています。
日本でも、都市部の鳩害対策として 「鳥にも・人にも・都市にも優しい」 一石二鳥の鳩小屋 [ Pigeon Loft ]は、早急に市町村や行政機関などが中心となって、検討すべき課題と思われます。
なお中近東には 「ピジョンタワー」と呼ばれる巨大な建造物が古くからつくられてきました。農作物の肥料として鳩の糞を集めたり、エジプトでは食用ハトの飼育のために利用されているそう。詳しくはこちらの記事で触れています。
Pigeon Loft画像:wikipediaより
このような鳩小屋の設置には賛否様々な意見や課題があると思います。
ただ、鳥を排除・駆除するのではなく、鳥にとって安全な場所を設け、そこに集約させることを鳥害対策の選択肢の一つとして検討することが大切ですね。