鳥インフルエンザについて3回目となる今回は、
インフルエンザウイルスが, ヒトからヒトへ連続的に感染・伝播する性質を獲得し、
新型インフルエンザウイルスとなる危険性についてご紹介していきます。
世界中に蔓延した鳥インフルエンザウイルス
これまでに判明している高病原性鳥インフルエンザウイルスは、H5 亜型とH7 亜型のウイルスです。1997年の香港で鳥インフルエンザA(H5N1)のヒト感染例が確認されて以降、世界では、東南アジア、中東・ヨーロッパ・アフリカの一部地域などで鳥類での感染が確認され、ヒトでの症例はアジア、中東、アフリカで報告されています。(2013 年 2 月15日現在、WHOの確認している発症者数は計620人、うち死亡例は367 人)
また2013年4月に、中国における鳥インフルエンザA(H7N9)に感染した患者の発生をWHO(世界保健機関)が発表しました。このウイルスもヒトに感染する可能性がありますが、ヒトからヒトへの持続的な感染は確認されていません。
日本における鳥インフルエンザウイルスの流行は
日本では、2004年、2007年、2008年および2010年から2011年にかけて家禽・飼育鳥もしくは野鳥においてH5N1 亜型の高病原性鳥インフルエンザウイルスへの感染事例が報告されていますが、ヒトでの症例は確認されていません。
ヒトからヒトへ感染する新型ウイルスに変異する危険性も!
季節的に流行するヒトインフルエンザウイルスと、鳥インフルエンザウイルスの感染がブタやヒトの呼吸器で同時に起こると、これらの体内で遺伝子の組み換えが起こる可能性が高く、ヒトからヒトに効率的に感染する能力を獲得した新型ウイルスに変異し、世界的流行(パンデミック)を引き起こす危険性があることから、検疫感染症に指定され、検疫所では継続して警戒を実施しています。
以上がシリーズ3回目《まだ終わっていない!鳥インフルエンザの脅威》となります。
シリーズ1回目《鳥インフルエンザってどんな病気?》、2回目《鳥インフルエンザはヒトに移るの?》もぜひご覧ください。
パンデミックを引き起こす危険もある新型インフルエンザ。そうならないためには、
実際に生じた場合の被害の状況を把握し、ワクチンなど治療薬の対策をするなど、
被害を少なくするための守りを固めることが必要ですね。