マジシャンの相棒といえばハト。
シルクハットから羽を広げて大きくはばたく白いハトは、
マジックショーのアイコン的存在ですよね。
昔からハトを使ったマジックは多数ありますが、
一方で、なぜインコやオウムなどの鳥は使われないのでしょう。
今回は、ハトがマジックに用いられる理由についてのお話です。
目次
手品の白いハトはドバトとは違う品種
公園などで私たちがよく見かけるハトは、ドバトまたはカワラバトと呼ばれる種類です。一方でマジシャンが使う白いハトは、ジュズカケバトの白変色したギンバト(銀鳩)と呼ばれる品種です。全長が25㎝ほどでドバトより小さく、くちばしと足が赤いのが特徴です。
野生のハトは鳥獣保護法によって飼育が禁止されており、一般的に飼育することはできません。ですが、ギンバトはペットショップで販売されていて、ペットとして飼うことができます。
レース鳩も白いのでギンバトと同種と思われることが多いのですが、レース鳩はドバトを改良してきたもので、ドバトの一種です。
マジシャンがギンバトを使う、その理由は
理由①:性格と賢さ
ギンバトはおとなしく、とても人懐こくて飼育がしやすいハトです。鳴き声も小さいので、アパートやマンションでも容易に飼うことができます。また人に従順で賢いので、愛情もって調教することで技を覚えます。
理由②:小さなカラダ
ドバトに比べて身体が小さいのもマジシャンに重宝される理由。数匹程度なら上着やハットの隠しポケットなどに隠せるのだそう。また飛ぶときにパタパタと翼を広げて大きく見えるので、マジックとして驚かせるのにとても効果的です。まさにステージ向きの鳩といえますね。
理由③:習性暗いところでおとなしく、光を見る羽ばたく習性
ハトの習性として視界が悪くなる夜は、天敵から身を守るために、飛ばずに木の上などで休みます。そんな習性があるからこそ、暗い場所に隠しておけば、鳴いたり騒いだりせずにじっとしていてくれるのです。
理由④:舞台映え
通常マジックの舞台は暗く、マジシャンもダーク系の衣装を着ている方がほとんど。その中で白いハトは視覚的コントラストが大きいため、登場したときの驚きも倍増します。たしかにマジックの舞台でグレーや黒系の鳥が出てきても、あまり目立ちませんよね。これでマジシャンが白い鳩を使う理由をお分かりいただけたと思います。
イケメンマジシャンが広めたハト出しマジック
ハト出しマジックは昔から存在していましたが、世界中に広がったきっかけとなったのは、ある映画に出演した一人のイケメンマジシャンだと言われています。
パリやロンドンなどヨーロッパ主要都市のナイトクラブやミュージックホールで活躍する、一流のショーマンを紹介した1960年公開の「ヨーロッパの夜」という映画。その出演者のひとりチャニング・ポロック(アメリカ、1926-2006)は飛び切りのハンサムで、そしてハト出しの名手でした。この映画でチャニング・ポロックは見事なハト出しマジックを披露。その優雅で威厳に満ちたマジックに多くの観客が魅了されました。
それをきっかけに、チャニング・ポロックに影響を受けたマジシャンが世界中に何千人も生まれ、数多くの新しいマジックを開発。これによりマジシャン=ハトの図式が出来上がったのです。
チャニング・ポロックの動画がYOUTUBEにありましたので、ぜひご覧ください。
いかがでしたか?
これでマジシャンが白い鳩を使う理由をお分かりいただけたと思います。
今回はマジックで鳩が使われる4つの理由と、
ハト出しマジックを世界中に広めたチャニング・ポロックについてご紹介しました。
マジックではマジシャンのパートナーになってくれるハトです。
鳥害の現場では害鳥としてのイメージが強いハトですが、
今回はマジックショーのハトの魅力に触れてみました。