都市の風景に溶け込んでいて、私たちの生活に身近なハトですが
日々どのような日常を送っているのでしょう?
ハトによる被害を防ぐために、まずハトの生態や行動パターンを知っておきましょう。
目次
ハトの種類・よく見かけるのは「ドバト」
国内で主に見られるハトはドバトとキジバトの2種類です。よく公園で見かけるハトは「ドバト」といい、全長約33cm、羽の色は黒褐色、灰色、白色のほかに、緑や赤が混じったものなどさまざまです。
緑の多い郊外などで見かけるハトに「キジバト」がいます。キジバトは赤茶色っぽい羽の色と首の青い筋模様が特徴で、全国的に生息しているハトです。
一般的に私たちの生活に近いのはドバトです。今回は主にドバトの生態をご紹介します。
ハトの行動パターン
朝:日の出とともに行動を開始します。公園などに出向いてエサを探します。
昼:近くの餌場が観察しやすく見晴らしのよい場所で休憩したり、水たまりで水浴びをしたり、日向ぼっこをして過ごします。夜になると建物の軒下や橋桁などに集団でねぐらをとり眠ります。
通常、数羽から数十羽の群れで過ごしますが、多いときは100羽以上の群を作ることもあります。
生息場所と行動範囲
商業地、ビル街のある都市の中心部から、都市郊外の農耕地、住宅地まで局所的にいます。駅、城跡、神社、寺社、公園などに群れでいることが多く、人間によってエサが供給されていたり、営巣に適した構造がある場所です。帰巣する能力は500km~1000kmあるといわれていますが、通常の行動範囲は20kmくらいです。
ハトの食性・人間の食べこぼしが主な食料源
市街地で見かけるドバトや、郊外に多いキジバトの他、数種類の鳩は共通して、本来、植物の種や木の実、穀類、豆類などを食べる生き物です。ドバトは林や農耕地を中心に生活していましたが、郊外の都市化の影響により、街や都会に生息するようになりました。それに伴い、エサの大半を人間が与えたものや道に落ちた食べ物くずに頼っています。本来のハトの食性には適しませんが、ハトは特定の食物を選ぶというより、その場所で得られるエサを食べているようです。また、ハトはカラスほど雑食ではなく、動物質のものは食べないので、人間が出した生ゴミは漁りません。
ハトの一番の敵は?
ドバトの天敵は、身近なところで猫やカラス、他には猛禽類のタカ、ワシ、フクロウ、他にはイタチ、ヘビなどがいます。しかしタカやワシ・フクロウ・ヘビなどは市街地にはほとんどおらず、都会に住むカラスや猫はエサが豊富にあるので、わざわざハトを襲うこともありません。ドバトは、実質天敵がほとんどいない安全な都会で生息し、人間によるエサの供給やその繁殖力の高さから、その数を次第に増やしてきたのです。
ハトの繁殖と成長
ハトは典型的な一夫一婦の鳥です。春は他の鳥同様に繁殖期ですが、ハトはピジョン・ミルク(後述)で年中子育てができるため、1年中繁殖が可能です。多いと1年で6回ほど産卵することもあります。
巣はわらや小枝などを使って営巣します。都市では工場や駅の天井部の配管の上、高速道路の高架下、ひさしの下、室外機の裏、マンションのベランダ、橋梁など、雨風の当たらない高所に営巣します。
産卵は、1回の産卵で2個の卵を産み、約18日間抱卵します。ヒナは生まれて1ヶ月程度で巣立ちをし、生後6ヶ月で成長し繁殖期に入ります。この繁殖率のよさも、ハトの増加の一因です。
ピジョンミルク・ハトはミルクで子育てする?
ハトは喉から「ピジョンミルク」と呼ばれる栄養分豊富な液体を分泌し、卵が孵化してから2週間程度まで与えてヒナを育てます。これは、哺乳類以外の生物がミルクを与えられる珍しいケースです。最初はピジョンミルクだけですが、徐々に植物の種子などを混ぜてゆき、巣立つ頃には親と同じような餌をもらうようになると言われています。
また、驚くことにオスとメス、両方の成鳥が分泌することができ、それぞれヒナに口移しでピジョンミルクを与えます。
ピジョンミルクで雛を育てられるおかげで、ハトは昆虫など動物性タンパク源となるエサを採る必要がなくなり、一年中、エサの少ない冬でも育雛することが可能なのです。このことはハト類の繁殖に大きな影響を与えています。
ハトの寿命
ハトの寿命は野生のもので10年ほどといわれ、比較的長生きの鳥です。ただし、多くはカラスに襲われたり、事故にあったりで寿命を全うする前に死んでしまうのだそうです。飼育されているものだと20年生きるハトもいるのだとか。メスで10歳、オスで12~13歳くらいまで繁殖能力があります。
いかがでしたか?今回はハトの生態や習性についてまとめました。
なお、ドバトとキジバトの違いについてのより詳しい記事は
《ハトの鳴き声が毎朝うるさくて困ってる!鳴き声の違いやその理由は?》を、
ハトの巣については
《ハトがベランダで巣を作る原因とその対策は?》
もぜひご覧ください。
人間によるエサの供給、繁殖力の高さ、天敵が少ないことも
ハトが減らない理由として挙げられます。
ハトが増えると人間の環境にも被害が増えます。
私たちがハトの正しい知識を持って、
これ以上ハトを増やさないようにすることが大切ですね。