防鳥ワイヤー工法は、鳥の足懸りや侵入防止などの忌避効果に優れ
あらゆる箇所で使用されています。
ところが、ビルやマンションの屋上に張られた防鳥ワイヤーに、
ハトが止まっているのを見かけることがあります。
何が原因でワイヤーの上に止まるのか、考えられる要因を2点、詳しく解説します。
ワイヤーに鳩が止まる要因-1[ワイヤーの選択が間違っている]
防鳥ワイヤーには、線径φ0.81とφ1.0の2種類があります。
笠木部や軒天・庇・H鋼フランジなどで多く使われるのが線径φ0.81のタイプで、その理由は鳩は運動能力に優れており線径φ0.81より太いと掴んで止まるケースがあるためです。
線径φ1.0は対象がカラス・ウミネコの場合や、ワイヤーカーテン工法の縦張り施工などで使用します。
当社ではナイロンで被覆されたコーティングタイプもあり、潮風の影響を受ける場所や美観上の都合などで使い分けます。
これらの基本的な条件をクリアしていれば、ワイヤーの上に鳩が止まる可能性はほぼ無いため、もし防鳥ワイヤーに鳩が止まっているとすれば、線径φ1.0以上のワイヤーが張られていると推察します。
ちなみにスズメなどの小さな鳥は、φ0.81でも掴むことができます。しかしφ0.81以下の極細ワイヤーは強度が著しく低下し、風や振動などでも切れることあるため、現状防鳥ワイヤーで対処することはないのが一般的です。
ワイヤーに鳩が止まる要因-2[不要なスプリングが取付けられている]
防鳥ワイヤー用の資材としてスプリングがあります。
取外しの機能を持たせたり、ワイヤーカーテン工法などの縦張り施工の際にテンション調整として使われます。
取外し機能としてとても便利なスプリングですが、多用しすぎることはおすすめしていません。というのも、先述のようにφ1.0のワイヤーでも留まることができるに鳩にとっては、スプリングを足掛かりにして留まることは容易です。支持金具(ステイ)の両サイドにスプリングを付けると、下のイラストのように安定して留まることができてしまうからです。スプリングを使うときは、支持金具の片側のみで、両端部に取付けることは避けてください。
いかがでしたか。今回は、防鳥ワイヤーにハトが止まってしまう場合の、考えられる要因について解説しました。防鳥ワイヤー施工の際の参考にしてください。
防鳥ワイヤー工法は、目立たず忌避効果にも優れているため、
屋外・屋内を問わずあらゆる箇所で使用されています。
鳥の種類に応じたワイヤーの太さと、スプリング使用の注意点を考慮して
活用すれば施工上のトラブルは発生いたしません。