比較的簡単とされる防鳥剣山の鳥害対策ですが
被害状況や鳥のサイズ、生態をしっかり把握しておかないと思わぬミスをすることに。
実例を取り上げてその失敗例と対策をご紹介します。
鳥害対策会社もお客様にも参考になる内容となっています。
不快を感じさせるピンの長さと先端が重要
ご存じのように鳥の身体は羽毛に覆われています。
これは保温や防水、浮力、身を守る保護などの機能があります。
全身に分厚いダウンジャケットを着ているようなもので、木の枝や尖った葉などがあっても多少のことでは痛みを感じません。
防鳥剣山は鳥の足より長いピンで物理的に鳥が止まれないようにするものですが、実はこのピン先の細さにも意味があります。
仮にピン先が丸く身体に触れても苦痛を感じなければ、ピンが身体に触れていても剣山の上で活動できます。
そのため最近の剣山は、ステンレス製のピンで、かつ先端は刺さらないように断面を残したタイプが主流となっています。
ここで重要なのは決して鳥を傷つける仕様ではないこと。
適度に嫌がる程度のピンであることが大切なのです。
殺傷能力をもった忌避装置の使用は鳥獣保護法で禁じられています。
手作り剣山で魚市場のカモメが死傷
鳥害対策に携わる者として、悲しく痛ましい事故の知らせが届きました。
ある漁港で、散歩がえりの住民が漁港ちかくの街路灯の上でカモメが死んでいるのを発見しました。
さらに、魚市場の軒先にも傷つき泣き叫んでいるカモメが数羽いたようで、地元の役所に連絡をされたそうです。
役所からの依頼で鳥害業者が現場に駆けつけたところ、街路灯、軒先など漁港の周辺各所に先が鋭利に尖った剣山風の金物が設置されているのを確認。
カモメたちはそれに刺さって死傷したと思われる状況だったそうです。
調査を進めると、地元の漁師さん数名が鋼線をキリのように尖らせて製作したモノのようで、カモメ対策として魚市場の周辺に取付けたそうです。
確かにカモメの糞害はすさまじく、量も多いことから漁港や港湾施設での被害は深刻です。
特に衛生管理に気を使われる漁師さんたちにとって、カモメの糞は商売敵といえます。
誤解から生じた痛ましいケース
その漁港関係者に話を聞くと、当初は市販の剣山を購入して設置していたそうです。
ただ効果が出ずに、それなら自分たちで作ろうとした経緯があったそうです。
恐らく最初に設置した剣山はピンが短く、足の長いカモメにはさほど障害にならなかったのではないでしょうか。
もしくはピン先が柔らかく、厚い羽毛に覆われたカモメには不快感を与えるほどではなかった可能性もあります。
漁師さんたちも普通の剣山で効果がでないなら、少し先端を尖らせたらどうか、と苦心の中で製作されたものと推測されます。
どちらにしても、当社なら〈オールステンロング剣山ワイド〉のような、カモメや鵜、カラスなどの足の長い鳥用の剣山を使ってもらっていれば、このような痛ましい事故にはならなかったでしょう。
わたしども鳥害対策会社が正しい情報を、分かりやすく提供していくことが大切であると思わされた事例でした。
防鳥剣山工法は、100%ちかい忌避効果と施工ミスも少ないため
屋内外を問わずあらゆる箇所で使用されています。
その剣山施工で発生した予期せぬ2つのトラブル案件から
鳥害対策の難しさと、同時に事業責任についての課題も再認識しました。