空家・空室の増加に伴い、全国いたるところで鳩の被害が発生しています。
1980年代後半、首都圏を中心に大量に供給された
団地やマンションなどの集合住宅は老朽化が進み、
同時に少子高齢化による影響で、空き部屋や住人不在の部屋が急増しています。
さらに“テレワーク移住”の影響で空室が増え、鳩が住みつきやすくなり、鳩の被害が拡大。
賃貸物件などでは、住人と管理会社の間で
鳩の被害に関するトラブルや課題が深刻化しています。
空室・無人化状態の放置で、ベランダ部に鳩が侵入!
建物の老朽化や高齢化による住人不在の空室、さらに先の見えないコロナ禍なども重なり、都心部のある団地では、500戸のうち3割近くが空家状態になっています。
一方、住人が居ても高齢者施設などへの入所で長期間の不在となり、荷物が放置されたままの部屋も少なくありません。
行政・管理センターでも長期不在世帯の正確な数や状況が掌握しきれておらず、たとえ鳩害が発生しても、家賃が支払われている限り勝手に部屋に入ることはプライバシーの問題にも関わるため、対応がますます難しくなっています。
都市型鳥害の主役であるドバトは元来、岩場の割れ目などに営巣する習性があり、都市部でその環境に類似しているのがマンションなどのベランダ、外壁、開口部です。
都市部に棲息する鳩にとって、自由に出入りが出来るベランダは雨風をしのげるだけなく、天敵のカラスや猫からも守られるため、営巣場所として最適な条件を満たしています。
なお同じ建物のマンション内でも、被害の発生するベランダと発生しないベランダの違いは明確で、被害の発生しやすいベランダの特徴は以下のようになっています。
被害の発生しやすいベランダ部
1. 空室で無人化の状態
2. 住人は居てもベランダに人の出入りがない状態
(高齢者の長期不在、学生寮や社員寮、夜間の職業従事者など)
3. ベランダ部が物置状態
4. ベランダ菜園と植栽道具で隙間のない状態
5. 清掃や整頓がされていない状態
上記の事象からもわかるように、鳩害発生率が極端に高い「空室・無人化状態のベランダ」の建物がいま日本全国の都市部を中心に拡大し続けており、空室増加は今後も歯止めが効かない状況下にあります。
空室への忌避対策は速やかに行うことが大切!
賃貸住宅やマンションでは、空室への鳩対策問題で入居者・管理会社の間で費用負担のトラブルなどが発生し、社会問題にまで発展しています。
通常では、入居者(借主)、建物の管理会社や大家(所有者)、理事会などで対処することとなりますが、責任の所在は事情によって異なるため容易には特定できません。
ただしベランダ部への鳩対策は、空き部屋になった時点で速やかに対応することが何より大切です。
空室・無人化状態のベランダ部の放置は、鳩に飛来・侵入の機会を永く与えるだけでなく、産卵や孵化活動にも直結します。
万一、空室のベランダに侵入し鳩が営巣をすると、糞の堆積・飛散だけでなく被害箇所も建物全体に拡大して、多大な損害を招くこととなります。
空き部屋となった時点での忌避対策が望まれるのは、鳩は帰巣本能が非常に強く、鳩に一度営巣されると、よほどの事がない限りその場所を離れようとしないからです。
さらに産卵などをしていると鳥獣保護法により勝手に処分することができません。
孵化して雛が飛び立つのを待つか専門業者に委託するしか策はなく、そのためにはできる限り早期の対策を施すことが必要なのです。
ベランダのハトの巣についてさらに詳しくは
「ハトがベランダで巣を作る原因とその対策は?」の記事もご覧ください。
市販の鳥害グッズの効力は短期間のみ
空き室になった時点で、速やかにCDや目玉などの防鳥グッズを設置することで、一定期間の忌避効果は望めます。
ただし、空室状態が長く続くような場合は、鳩の学習能力や馴れで効果は半減します。
そのため長期間での対策となると一番効果的と言えるのが防鳥ネット施工になりますが、取付けには技術と危険も伴いますので、一度専門業者にご相談することをおすすめします。
市販の鳥害グッズについて詳しくは
「本当に効くの?? 市販鳥害グッズあれこれ」の記事もぜひご覧ください。
今日、鳩害の発生は一世帯だけの問題ではなく、
近隣周辺にまで関わる環境問題として常にマスコミなどで報道されています。
一方、高齢化や老朽化による空き部屋の増加と鳩害発生の因果関係は、
今後も変わらず続いていくものと思われます。
なによりも空室への鳩対策は速やかに取組むことが必要。
借主・貸主間でのトラブル中にも、鳩は侵入し営巣しているかもしれません。