普段の生活にお馴染みのドバトから、天然記念物に指定される種まで多くのハトがいます。
なかには体長40㎝もある大型のハトや、美しい羽で謎に満ちた生態のハト、
ムクドリ程度の小さなハト、県民に溺愛されるハトなど、その姿や個性も様々。
実は外来種のドバトも含めた、主要な7種のハトの特徴をご紹介します。
目次
意外と多い日本のハトの種類 ドバトは外来種
世界には約290種のハトが確認されていて、日本では亜種を含め13種の在来種がいます。
たくさんの種類が生息していますが、そのほとんどが個体数の少ない稀少なハトたち。
中には天然記念物に指定されているハトもいます。
一方でカワラバトは海外から持ち込まれた外来種ですが、個体数は最も多い品種です。
そんなカワラバトを含む主要な7種類のハトたちの生態や性格、鳴き声、見分け方などをまとめました。
《カワラバト(ドバト)》
カワラバト(ドバト)について
ハト目ハト科カワラバト属。漢字表記《河原鳩》
土鳩・堂鳩とも呼ばれ、誰もが知っている代表的なハトです。
日本の在来種ではなく、ヨーロッパや中央アジア、北アフリカが原産。
人になつきやすいため家禽化され、食用や伝令用のほか、愛玩用の品種改良も行われました。
レース用になるほどの強い帰巣本能と身体能力を誇る優れたハトですが、野生化し人の生活圏に溶け込むようになるとその能力が災いし「ドバト公害」とよばれるほど嫌われ者になってしまった一面もあります。
なお、手品などで使われる白いハトは別の種類で、
《ジュズカケバト(数珠掛鳩)》の白変種で《ギンバト(銀鳩)》といいます。
愛玩用などで世界中に広がり、一部の地域では野生化してドバト同様に鳥害を発生させていると言わています。
カワラバト(ドバト)の鳴き声や見分け方
・生息地:北海道から沖縄まで生息。小笠原諸島は除く。
・全長:約33cm
・体重:約300g
・性格:人懐っこい・縄張り意識が強い
・鳴き声:「クックー」「ゴロッポ、ゴロッポ」「ウーウー」
・見分け方:くちばしが太い・頭部の逆毛・赤色系の足。雌雄同色。
・羽色 :全体が黒色、白色、モザイクなど色や柄は個体ごとに違う。
《キジバト》
キジバトについて
ハト目ハト科キジバト属。漢字表記《雉鳩》
もとは「ヤマバト」と呼ばれるほど山岳地帯に生息し、人との接触は少ないハトでした。
しかし徐々に人の生活圏に進出し、里山や村はずれの林などに住むようになります。
最近では市街地でも見られるようになり、繁殖もするようになりました。
「ホーホーホッホー」や「テーデー ポッポー」と何度も繰り返されるさえずりが特徴的で、これはオスが求愛行動や縄張りを主張するの際の鳴き声。
身体の色がキジの雌に似ているのが名前の由来となっています。
日本の狩猟対象となる鳥類28種のうち、唯一のハトです。
キジバトの鳴き声や見分け方
・生息地:日本全国で繁殖する留鳥
・全長:33 cm
・体重:230g
・性格:穏やかな性格・人に慣れているがカワラバトよりは警戒心は強い
・鳴き声: 「ホーホーホッホー」「テーデー ポッポー」主に早朝にさえずる
・見分け方:全体に茶色ぽい鳩で、茶褐色・灰色の羽が目立ちうろこ模様。雌雄同色。
・羽色:体色は雌雄同色で茶褐色から紫灰色。翼に黒と赤褐色の鱗状の模様があるのが特徴。
《カラスバト》
カラスバトについて
ハト目ハト科カワラバト属。漢字表記《烏鳩》
本州中部以南の海岸や島にある常緑広葉樹林を好んで生息しています。
食性は植物食傾向の強い雑食で、果実や花、ミミズなども食べます。
カワラバトより身体はひと回り大きく、尾が長く、名前の通り黒い身体が特徴です。
個体数が少なく環境庁では準絶滅危惧(NT)に指定されています。
亜種には小笠原諸島の《アカガシラカラスバト》、八重山諸島の《ヨナクニカラスバト》がいます。
共に島に移入されたネコやネズミなどが原因で大きく減少してしまいました。
現在《アカガシラカラスバト》は国の天然記念物に指定。
両種ともに国内希少野生動植物種となっています。
小笠原諸島ではネコを減らす対策が実施され、一時は数十羽までに減った《アカガシラカラスバト》も最大1000羽程度に回復したそうです。
カラスバトの鳴き声や見分け方
・生息地:本州中部以南の日本各地
・全長:全長40cm
・体重:320~470g
・性格:警戒心が強い
・鳴き声: 「グルルッ、ウーウウーッ」と押し殺したような声など
・見分け方:脚は桃色、クチバシは青緑色で先端が淡い黄色。雌雄同色。
・羽色:全身が金属光沢のある黒色で,光線の向きによって緑色や紫色に輝いて美しい。
《キンバト》
キンバトについて
ハト目ハト科キンバト属。漢字表記《金鳩》
バードウォッチャーやカメラ愛好家にも人気のキンバト。
他のハトに比べて小さな身体と、光沢のある美しい緑色の羽、赤いクチバシと足が特徴です。
頭頂部の色が雌雄で違い、オスは灰青色、メスは褐色です。
日本では宮古島以南の南西諸島にのみ生息し、警戒心も強いことから、その姿を見ることは非常にまれ。
薄暗い森林を好み地表を徘徊しながら採食活動を行います。
植物食傾向の強い雑食で、果実、種子、シロアリ等も食べます。
絶命が危惧されており《リュウキュウキンバト》の別称で国の天然記念物にも指定されています。
キンバトの鳴き声や見分け方
・生息地:宮古島以南の南西諸島に留鳥として分布
・全長:全長25cm
・体重:120g
・性格:警戒心が強い
・鳴き声: 「ホッホロロ」「コッコロロ」「ウーウー」
・見分け方:他の鳩よりも小型で赤くて細いクチバシをもちます。オスは頭頂部が灰青色、メスは褐色。
・羽色:背と翼は金属光沢のある緑色が美しい。
《アオバト》
アオバトについて
ハト目ハト科アオバト属。漢字表記《緑鳩》
日本列島と中国と台湾の一部だけに分布しています。
以前はキジバトと同様に「ヤマバト」とも呼ばれていました。
繁殖は国内のみとされ、全国各地で観察されていますが、絶対数は少ないハトです。
そのため巣の発見が困難で、生態も不明な部分が多い謎の鳥としても知られています。
毎年5月頃になると神奈川県大磯町の照ヶ崎海岸に数百羽のアオバトが飛来してきます。
波が打ち付ける岩場に降り、なにかをついばむ様子が観察できます。
実は海水を飲んでいるのですが、それがミネラル補給のためなのか目的は解明してません。
他の生息地域では、そのような行動がほとんど報告されていないためです。
また笛を吹いているような、唸っているなよう独特の鳴き声も、この鳥の謎を深めるひとつの要素となっています。
YOUTUBEにアオバトの鳴き声がアップされていたので、リンクを貼っておきます。
アオバト(鳴き声と3次元声紋:日本野鳥の会)
アオバトの鳴き声や見分け方
・生息地:本州、四国、九州で繁殖する留鳥、北海道では夏になると本州に渡ります
・全長:全長33cm
・体重:190~290g
・性格:警戒心が強い
・鳴き声: 「オーアーオー」や「ウー ワーオー ワーオ」と唸るような独特の声
・見分け方:足指を除く脚が羽毛で覆われている。コバルト色のクチバシ。
・羽色:全体的にオリーブ色。羽に赤い部分があるのがオス、緑色なのがメス。
《ベニバト》
ベニバトについて
ハト目ハト科キジバト属。漢字表記《紅鳩》
ハト科では最小の大きさで、地上で種子や草の芽、昆虫などを採食します。
中国の中央部から東アジアで繁殖し、日本には数少ない冬の渡り鳥として西日本に渡来してきます。
繁殖地では珍しい存在ではありませんが、日本に渡ってくる個体数は非常に少なく、その地域も限定的なため、国内で見かける機会は非常にまれ。
ベニバトの鳴き声や見分け方
・生息地:日本には数少ない旅鳥または冬鳥として、西日本に渡来する
・全長:全長23~25cm
・体重:90~100g
・性格:穏やか
・鳴き声: 「クックー、クック、クークルク、ク-クルク、ク-クルク・・・」と連続して鳴く
参考 YOUTUBE Red Collared-Dove call
・見分け方:オスは頭部は灰色で、羽がレンガのような赤褐色。首に黒い環状の模様。
メスは全身が灰褐色で体が小さく足が暗褐色。
・羽色:オスの翼と背中は赤褐色。
《シラコバト》
シラコバトについて
ハト目ハト科キジバト属。漢字表記《白子鳩》
全身が灰褐色で、首のうしろのに黒い環状の模様が特徴。
黒い環状の模様はベニバトのオスにしているが、シラコバトは雌雄が同色です。
主な生息域は関東地方北東部(千葉県北部、茨城県南西部、埼玉県東部)ととても狭いエリア。
以前は狩猟対象でしたが乱獲などで個体数が激減。
一時は埼玉県越谷市まで生息域が縮小しました。
1956年に国の天然記念物となり、続いて埼玉県の県鳥、越谷市の市の鳥にも指定。
徐々に個体数を回復させましたが、主なエサ場にとしていた養鶏場などが減少し、さらに鳥インフルエンザ対策で鶏舎に入れなくなったことなどが関係し再度激減してしまいました。
ちなみに童謡『鳩ぽっぽ』は、シラコバトの鳴き声をモチーフにしたそう。
また埼玉県を題材にした映画では、踏み絵がわりにシラコバトの描かれた草加せんべいを用いるなど、愛らしい見た目と鳴き声で深く愛されてきたハトといえます。
シラコバトの鳴き声や見分け方
・生息地:関東地方北東部(千葉県北部、茨城県南西部、埼玉県東部)
・全長:全長30~33cm
・体重:約200g
・性格:穏やか
・鳴き声: 「ポッーポポー」と3拍子で鳴く
・見分け方:雌雄同色で、背と尾は褐色みが増す
いかがでしたか?こんなにもバラエティ豊かな種類がいるとは驚きですね。
数が多くて困っているハトから、絶滅が危惧されるハトまでその状況も様々。
主要な7種のハトの解説は以上となりますが
他にもカラスやツバメの種類に触れた記事もぜひご覧ください。
意外な発見と出会いがきっとあるはずです!